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手を伸ばせば届く宇宙の話

岩谷圭介(いわや・けいすけ)

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第6回 空が青いのはなぜ?

2015.03.26 更新

前回(第5回参照)、「空はどこから宇宙になるか」についてお話ししました。その中で、高度30kmまで上昇すれば、宇宙から地球を見下ろすような景色が見られると触れました。
しかし普段私たちが見上げる空は青いですよね。ではなぜ、空は青く見えるのでしょうか。そして、どうして宇宙は暗いのでしょうか。

飛行機に乗った時に、窓から空を見上げたことはありますか? 飛行機の窓は小さいので、空を見上げようとしても見えず、あまり馴染みがないかもしれません。
飛行機はおおよそ上空10kmの高さを飛行しています。この高さは結構高い場所なので、私たちが地上から見る空の色と飛行機から見る空の色とでは、少し違っているのです。飛行機から空を見上げると、深い藍色の空が広がっています。たった10kmですが、宇宙に近付いているのが見て取れるのです。

地球の大気はとても薄いです。前回地球の大気の限界は10,000kmであるとお話ししましたが、大気は上空に行けば行くほど加速度的に密度が薄くなっていきます。
海抜0mから飛行機が飛ぶ10kmの高さまでに地球の大気全体の95%が存在します。高度10~30kmまでで4%、30kmから先にはわずか1%に満たない量しか存在しません。

飛行機よりちょっと上昇すると、空の色はあっという間に宇宙の黒色に近付いていきます。私が装置を飛ばして撮影をしている上空30,000~45,000mでは完全に真っ黒になり、地球の輪郭も、宇宙との境界も完全に見て判断することができるようになります。
このことから分かるように、空気がないと空は青く見えないのです。
地球の大気が空を青く見せているので、大気がない宇宙では空が暗く見えるのです。空の青さには大気が原因しているということです。
では、空が青い理由をもう少し詳しく説明いたしましょう。
太陽の光は白色です。実は、この白色の光には、赤・だいだい・黄色・緑・青・藍・紫……そのほかにもたくさんの色がまじりあってできています。理科の授業でプリズムを使って白色光(はくしょくこう)を分解する実験をしたことはないでしょうか。プリズムはガラスなどでできた三角形の多面体で、このプリズムを使うと白い光を分解することができるのです。
自然界でも、これと同じことが発生しています。それは虹です。虹には赤から紫までの色が含まれていますよね。白い光は様々な色の集合なのです。

光を分解すると虹になります

光を分解すると虹になります

光は線のように見えていますが、実は波としての性質を持っています。波というと、海や湖で水面の上で見ることができますよね。光も海や池の波と同じです。
昔ヤングという人が光は波であることを証明しました。彼のおこなった「ヤングの実験」と呼ばれる実験をおこなえば、誰もが光は波であると簡単に証明することができます。
普段の生活では光が波であるということを実感できませんが、確かに波なのです。
波である光は、その波の高さより小さな物体にぶつかると、ぶつかった物体は光を吸収すると同時に、同じ光を四方八方に放出します。この現象を散乱と言います。

空が青い理由は、この「散乱」という現象のためです。地球の大気は青い光と緑色の光を散乱する性質を持っているのです。
また、散乱という現象は波の長さ(波長)が短い光のほうが起きやすいのですが、青い光は波の長さが短いのです。そのため青い光は散乱しやすいのです。つまり地球の大気は、白い太陽光に含まれる様々な色のうち、青色の光だけを捕まえて四方八方に放り出しているということですね。だから、空は青く見えるのです。

6回目 修正2

虹は赤色や黄色が強く見えませんか?

虹は赤色や黄色が強く見えませんか?

この散乱によって、どうして夕日や朝日が赤いのかも説明することができます。
夕日や朝日は地平線から顔を出しますよね。
地球は丸いので、地平線から太陽が顔を出すような場合、地球の大気の中とても長い距離を進まなくてはなりません。
太陽の光は白色ですが、地平線の彼方から長い距離進まなくてはいけませんので、その間に白に含まれる青い光や緑色の光はすべて散乱してしまい、夕日や朝日を見る人に届くのは赤やオレンジの光だけになってしまいます。そのために、夕日や朝日は赤いのです。
一方昼間は下図のように、光が空気中を進む距離がとても短いので、太陽の白い光のうち、青や緑の光が散乱され尽くすことはなく、白く見る事ができるのです。

太陽と地上にいる人の位置関係がポイントです

太陽と地上にいる人の位置関係がポイントです

これはあくまでも地上で太陽光を見た場合です。夕日や朝日はどの場所から見ても赤く見えるわけではありません。
空気があるので光の散乱が起こりますが、逆を言えば、空気が薄ければ散乱されにくくなります。

6回目 3
この写真は私が2014年のお正月に上空30,000mから撮影した初日の出です。上空30,000mまで行くと空気は100分の1しかありません。
散乱も100分の1しか起こらないので、このような青い朝日を見ることができるのです。
よく見てみると地上に近いところは赤っぽく、上に行くにつれて青っぽくなっていっています。空気密度と散乱による色の変化が良く見て取ることができますね。

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著者プロフィール

岩谷圭介(いわや・けいすけ)

民間初の日本国内における上空30kmの撮影に成功。その後も開発を進め日本一の打上げ回数・成功率・世界最高高度記録を樹立。世界最高水準の技術を確立する。国内様々なTV・新聞・雑誌に取り上げられCMや広告にも起用されている。 技術は独力により開発。始まりは大学4年の夏休み、海外のニュースサイトで見た1枚の写真だった。 個人レベルの資金と身の回りの素材を使って切り開いた宇宙開発『ふうせん宇宙撮影』を通じて宇宙を身近に感じてもらうこと、挑戦する気持ちを広げていくために活動している。著書に『宇宙を撮りたい、風船で。 世界一小さい僕の宇宙開発』がある。

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