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手を伸ばせば届く宇宙の話

岩谷圭介(いわや・けいすけ)

手を伸ばせば届く宇宙の話 ブック・カバー
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第10回 時間は絶対的なものではない

2015.06.05 更新

アインシュタインの特殊相対性理論により、移動する速度によって時間の進みは変わると説明されています。具体例でお話しましょう。例えば、光の半分(50パーセント)の速度で飛行する宇宙船に乗った人が、1年後地球に帰ってくると、地球では1年と56日経っていることになるのです。地球上と宇宙船上とで56日の時間差が生まれるのです。
不思議な話ですが、非常に速い速度で移動すると、止まっているよりも時間が遅く流れるのです。移動速度が速ければ速いほど、時間の流れる速度は遅くなります。
先ほどの宇宙船がより速い速度を出すとどうなるでしょうか。例えば、光の90パーセントの速度を出したとします。1年飛行して帰ってくると、地球では2年と107日経っていることになります。もっと速く、光の速度とほぼ同じ(99.99パーセント)だと、地球に帰ってきたときには70年以上経っていることになります。70年も経っていたら、浦島太郎状態ですね。特殊相対性理論による時間の遅れは、このおとぎ話から、「ウラシマ効果」と言われています。ちなみに、光の速度に近付けば近付くほど、時間はより無限に伸びていきます。
このウラシマ効果は、多くのSF小説や映画などで利用されています。例えば、宇宙飛行士が10年の航海の果てに地球に辿り着いた。すると、地球に残していた家族や友人がすっかり年老いていた、というような内容です。タイムマシンに乗ったわけではなくても、ウラシマ効果によって、宇宙飛行士はあたかも未来にきたのと同じような状態になるのです。

光の速度より速いものは世界に存在しない、と現代の科学では説明しています。それが本当かどうかはまだ現在の人類の知るところではありませんが、今のところ「そうらしい」ということで全て説明されています。
なぜ「そうらしい」と記したかというと、現在の科学ではそれで矛盾なく説明できているからですが、もし説明できない事柄や実験結果が出てきた時には修正しなくてはなりません。
科学はこのように発展してきました。これからもこのように発展していきます。科学は真理であるかのように誤解されることがよくありますが、あくまで仮定であって、現象に対し、理論体系の中で矛盾なく説明するためのものなのです。決して森羅万象に対する答えではありません。説明するためのアプローチでありそれ自体が真理ではありません。

現在、光の速度より速いものは存在しません。その光りの速度は秒速約30万キロメートル、「猛烈な」という言葉では生ぬるいほどの速度です。数字がぶっ飛んでいるので、私たちにとって身近な新幹線と比較してみましょう。新幹線の速度は、秒速に直すと、0.083キロメートルです。遅すぎて比べものになりませんね。
では人類の作り出した最も速い乗り物、ロケットならどうでしょうか。宇宙空間に滞在するためにロケットは秒速7.9キロメートルまで加速します。これでも圧倒的に光より遅いのです。光の速度がどれほど速いのかも実感いただけるかと思います。
時間に変化が生まれるには、光の速度の何十パーセントの速度が必要です。ロケットは人類の作り出した最も速い乗り物ですが、比べたらわずか0.003パーセント。光の速度の38000分の1の速度です。こんなに遅いと、時間に変化は発生しません。
私たちが普段生活していると、時間は絶対的なものだと思っています。時計も、時間が絶対的であることを前提に作られています。どこに行っても同じ1秒を刻み続けますし、どんな乗り物に乗っても時間は変わりません。
しかしウラシマ効果のような現象は、原理的にも観測的にも間違いなく起こる現象です
しかし、人類が開発した最も速い乗り物ですら光に比べるとぎるので、私たちの日々の生活で時間の変化が生まれるなどということはないのです。ウラシマ効果を利用したタイムマシンも、私たちが近い将来利用できるようにはならないでしょう。
しかしSFの父と呼ばれる、作家のジュール・ヴェルヌは言いました。「人間が創造できることは人間が必ず実現できる」と。
タイムマシンは想像の世界にしかないものではありません。原理まで理解できています。近い将来は難しい事でしょうが、いずれ必ず形になるに違いありません。

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著者プロフィール

岩谷圭介(いわや・けいすけ)

民間初の日本国内における上空30kmの撮影に成功。その後も開発を進め日本一の打上げ回数・成功率・世界最高高度記録を樹立。世界最高水準の技術を確立する。国内様々なTV・新聞・雑誌に取り上げられCMや広告にも起用されている。 技術は独力により開発。始まりは大学4年の夏休み、海外のニュースサイトで見た1枚の写真だった。 個人レベルの資金と身の回りの素材を使って切り開いた宇宙開発『ふうせん宇宙撮影』を通じて宇宙を身近に感じてもらうこと、挑戦する気持ちを広げていくために活動している。著書に『宇宙を撮りたい、風船で。 世界一小さい僕の宇宙開発』がある。

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