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女って何だ?

カレー沢薫(かれーざわ・かおる)

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カレー沢先生、ぼっち飯派の見破り方を教えてください!

2018.03.30 更新

ガチ悩み「私は昼休みは1人で過ごすのが至高と思っており、他人もそうかもしれないと思い自分からランチに誘うことはありません。そうすると時々若い女性から『あの人は冷たい』『私嫌われてるのかな』とクレームが出ます。昼休みを人と過ごしたい派かどうかの見分け方が知りたいです」

まず、一番わかりやすい見分け方は、相手が昼休みソシャゲをやっているか否かです。
昼休みが始まると同時にソシャゲを起動している、スタートダッシュがいい奴は、まず誘わない方が吉です。
何故なら多くのソシャゲには「体力」のパラメータが設定されており、その「体力」を消費してゲームをプレイします。そしてその「体力」は時間経過で回復し、ゲージの上限以上は回復しません。よって、午前中回復した「体力」を昼休み消費しないと、「体力」が溢れてしまい「もったいない」ことになってしまいます。

多少のことなら金で解決する、というソシャカス野郎ならいいかもしれませんが、無課金プレーヤーにとって、この自然に(無課金で)回復する体力というのは非常に貴重なものであり、目の前で石油が溢れて下水に流れているようなものです。

それを邪魔するというのは、「いや!溢れちゃうゥ…!」と、石油に駆け寄る若い女性を「そんなことより、俺とイイコト(ランチ)しようぜえ…」と引きずっていくようなものです。

つまり、やっていることがブリーフ姿のモブおじさんと同じです。

もちろんモブおじさんも立派な職業ですが、モブおじさんでもないのに、行動がモブおじさんというのはいただけないものです。

他にも、ソシャゲをやっていなくても、昼休み会社に居るか否かで見分けることができます。
いかにも近づくなオーラで、一人でコンビニ弁当を食っているような奴でも、会社で、他人から存在を確認できるような位置で食っているようなら、誘われたくないとそこまで思ってません。

本当に、一人で飯を食いたい奴は社外に出ますし、それも他の社員に見つからないところにいます。
ちなみに私は、コンビニ飯を、コンビニの駐車場で、車の中で食います。車がなかったらおそらく便所とかで食うと思います。

そこまでして、と思うかもしれませんが、一人で飯を食いたい奴は、そこまでして一人で飯が食いたいのです。よって昼休み、完全に行方不明になっている奴は誘うべきではありません、と言いたいところですが、実は違います。

「昼休み、誰かと一緒にいるのが嫌」という奴でも「誘われること自体は悪い気がしない」と思っているケースが結構多く、好き好んで一人でいるくせに、いざ、自分だけ誘われないと、一丁前に疎外感や寂しさを感じたりしているのです
つまり「誘われるのは迷惑なんだけど一応誘って欲しい」と思っているのです。

なんでそんなクソ野郎にそこまで気を使わなければいけないのか、と怒りでブリーフが張り裂けんばかりになっていると思いますが、クソ野郎だから便所で飯を食っているのです。クソは便所という、正しい位置にいるのです。

よって重要なのは、誘うか否かではなく「どれだけ断りやすく言うか」です。

「明日、昼ご飯用意してこないでね」など、前日から「すみません、今日弁当あるんで」という断り手を封ずるような、「確定的決定事項である」という誘い方は下の下です。

あくまで、流れで、ついでっぽく、「便所飯さんもどう?」みたいな感じで誘うのがベストです。
言葉は少なければ少ないほどベターであり、ここで「近くに、皿がやたらでかいオシャレなカフェができたんだけど、一緒にどう?」みたいな具体性を足すと、便所飯さんは断りづらくなってしまいます。
誘い方が曖昧であれば、断る方も「しょ…小生は…!(首と一緒に体を激しく横揺れ)」みたいな曖昧なリアクションで断ることができます。
つまり、きっぱり断れないタイプでも断れる誘い方をしましょう。

また、断られた時も、決して嫌な顔をしてはいけません。何故ならコミュ症というのは人との深い関わりを避ける割には、人に嫌われるのを極度に恐れている場合が多いため、声が一オクターブ低いだけで「嫌われたのでは」と二週間は寝込んでしまいます。

よって、努めて明るい声で、ここでも言葉は少なく「うんわかった」と言いましょう。「またね」など付け加えるのも相手に安心感を与えてグッドです。

もうお気づきかと思いますが、誘うだけでここまで気を使わないといけない相手と飯を食っても楽しいはずがありません。
周りに気を使うのも立派ですが、あなた自身の、孤独で豊かで救われたランチタイムも大事にしましょう。

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著者プロフィール

カレー沢薫(かれーざわ・かおる)

1982年生まれ。OL兼漫画家・コラムニスト。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビュー。自身2作目となる『アンモラル・カスタマイズZ』(太田出版)は、第17回文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品に選出。ジャンルを問わず幅広く活躍しており、主な作品に、漫画『ヤリへん』(小学館)『やわらかい。課長 起田総司』(講談社)『ねこもくわない』(日本文芸社)、コミックエッセイ『ナゾ野菜』(小学館)、コラム集『負ける技術』『もっと負ける技術 カレー沢薫の日常と退廃』(講談社)などがある。

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