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カレー沢薫のワクワクお悩み相談室

カレー沢薫(かれーざわ・かおる)

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カレー沢先生、男性と仕事がうまくいきませんが、それは私がブスのせいでしょうか?

2019.02.15 更新

こんにちは。「ブス図鑑」を読んで以来カレー沢メシアのファンになりましたブス女です。
顔ブスのせいか性格ブスのせいかわからないのですが、職場で男性から嫌われすぎて業務に支障をきたしており困っています。私の頼んだ仕事だけしてくれないなどのレベルで嫌われており、上司からは「他のスタッフが担当のときはしてくれたのであなたの頼み方が悪いのではないか」と言われるのですが、普通に接しているつもりなのでどうすれば良いのかわかりません。ちなみに、就活のときも男性のいる職場の面接全落ちしました。女性のみの会社で働いているので、上記の男性というのも社外の人のことです。
どうすれば男性と業務に支障が出ない程度の円滑な関係が築けるのでしょうか? どうかアドバイスをください! よろしくお願いします!

まず「業務に支障が出るレベルのブス」という言葉はどこかで使わせてもらいたいなと思いました。

閑話休題。あなたの顔や振る舞いを実際見たわけではないので何とも言えない部分もありますが、あなたの顔がどれだけガッテンボタンを力強く押すしかない代物であったとしても「頼んだ仕事を無視」していい理由にはなりませんし、本当にその理由があなたの容姿だったとしたら、余計相手が悪いです。

また、上司の「頼み方が悪かったのでは」という返答も、痴漢被害者に「そんな対魔忍みたいな格好をしているのが悪い」という日本のお家芸「被害者を責める構図」「なぜか加害者ではなく被害者に改善を求める不思議」なので、納得してよいものではありません。

職場で不当に差別されることに対し、まず考えるべきことは「自分はどこを直せばいいのか」ではなく、「相手がなぜそんなことをするのか」と原因究明をしてもらうことです。

つまり、頼んだ仕事シカト事件はあなたの態度が問題なのではなく、まず仕事をしなかった側、そして上司の対応が間違っています。
上司のすべきことは「何故頼んだ仕事をしなかったのか」と、まずは相手に理由を聞くことです。

そこがわからないままに「あなたの態度が悪かったんじゃないの?」と言うのは、痴漢加害者を全く取り調べせず「よくわからないが原因は被害者の服装ではないかという気がする。同じ事件を起こさないため、被害者には外出の際、服装に配慮をすればいいんじゃないか」で事件を決着させるようなものです。
もしあなたに落ち度があったとしても、相手の言い分がはっきりしなければ改善のしようもありません。

よって、もし今度似たような案件が起こったら、上司には「どうしてこうなった」と相手に聴取をしてもらうように頼みましょう。
もし、その上司が動いてくれないなら、相手側の上司に言うなど相談相手を変えましょう。
直接は聞きづらいでしょうし、本人同士がぶつかると、ますますこじれる恐れがあるので、とにかく間に誰かを入れることは大切です。

そうすることにより、もしかしたらあなたが仕事を頼むとき、相手の頭をポンポンしながら「頼んだぜ?」と言っていたことが判明するかもしれません。
万が一そうだったとしても、相手も「頼まれた仕事をしない」ではなく、しかるべき上司や部署に「取引先の人がティーンズラブの読みすぎなので対処を望む」という報告をすべきであり「とりあえずシカト」は子供がするようなことであり、そこも改善の必要があるでしょう。

そしてあなたも「二次元以外の場所での頭ポンポンはやめる」など態度を改めることができます。

このように、あなた一人が「自分のどこを直せばいいのか」と思い悩むのではなく、全体の問題として捉えた方が問題点がクリアになり、改善策も具体的になっていきます。

もし理由が本当に「ブスすぎたため」という場合でも、場所を法廷に変えて話し合えます。
「まず原因究明」が何より大事なのは明らかです。

現時点では、何故相手がそのようなことをしたのか、理由が定かでないので、何とも言えない部分も多いのですが、逆にあなたが「ブスのせいにしすぎてないか」という印象も受けました。

ブスというのはある意味便利な言葉で、敵対する相手に「ブス」や「ババア」など、容姿や年齢というどうにもならないものに対し罵声を浴びせて、安い勝利を得ようとする人間がいるのと同じように、「自分はブスだからしょうがない」と自分自身も安易な諦めの理由に「ブス」を使ってしまうことがあります。

努力すれば直せるものが原因の場合「努力の必要」が出てきてしまうので、努力では一定以上どうにもならない「ブス」のせいにする方が楽だからです。

面接も、本当に満場一致の「ブスだから」という理由で落ちたなら、そんなルッキズム会社に受からなくてむしろラッキーだったと思いますが、他の理由から目をそらし、鏡を見て「これは仕方ない!」と諦めているようではいけません。
とりあえず女には「ブス」と言っとけばダメージを与えられるから言っとけ、と思っている奴も悪いですが、自分自身が「そっす! そっす! ブッスでっす!」となってしまうのも同じぐらいに思考停止です。

しかし、あなたがブスのせいではと思うようになってしまったのは、ただの被害妄想ではなく、そう思わざるを得ない対応を周囲からされてきたからでしょう。
よって「自分をブスなんて思っちゃだめだよ、女の子はみんなお姫様なんだから!」などとは言いません。他人にはありませんが、あなたには自分をブスと思う権利があります。

しかし、ブスと仕事の不調の因果関係は、相手に「お前、私がブスだから舐めてるだろ?」と直接聞かない限りはわかりません。
仕事を無視されるレベルなら原因を究明すべきですが、ちょっとしたことでイチイチそれを聞いていたら、ブスどころではない問題のある人になってしまいます。つまり、些末なことで、それがブスが原因かどうかを悩むのは「考えても仕方がないこと」です。

よってまずは、「私はブス」のあとに「よって仕事が上手くいかない」というような暗い「ブストーリー」を続けるのをやめ、「私はブスだ。~完~」という事実確認だけで終わらせるところからはじめましょう。

慣れてきたら「私はブスだ」のあとに「故に無敵」とか「だからこそ見える景色がある…」とか壮大な物語を考えはじめましょう。
魔王を倒し世界を救うぐらいのストーリーを考えれば、出だしの「私はブス」のことなんて忘れてしまえるでしょう。

業務ブス

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作品について

著者プロフィール

カレー沢薫(かれーざわ・かおる)

1982年生まれ。漫画家・コラムニスト。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビュー。SNSでは“自虐の神"と崇められ、20本近くの連載を抱える人気作家。近刊はエッセイ『女って何だ?』(小社)。現在クラウドファンディングでコラボカフェの開店を企画中。

作品概要

人間関係、金銭問題、趣味沼……
読者から寄せられる様々なお悩みにカレー沢先生が答えます。

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