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カレー沢薫のワクワクお悩み相談室

カレー沢薫(かれーざわ・かおる)

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カレー沢先生、お酒との不適切な関係をどうしたらいいでしょうか?

2018.08.17 更新

大して多くもない給料のほとんどをお酒に使ってしまいます。一度飲むと2、3杯では済まず、数時間同じペースで飲み続けてしまいます。今だって、「残業したし」って理由で、飲んで帰る算段をしています。ストゼロと程よい距離を築けている先生はお酒の誘惑をどう断っているのでしょうか。

捨ててますかー!! 金をドブに!
日々金をドブに捨ててはドブ川のほとりで体育座りしている俺たちです。
その中でも酒はドブ度が高い。何せ最終的には尿、しかもオイニーキツめの尿になります。もしくは「消化器官なんか通ってられっかよ」というせっかちなヤツはゲロになります。
有益性があるとしたら、「酒しか飲んでねえのに何故か固形が出る」という人体の不思議を体験できるぐらいです。

しかし、前にも言った気がしますが、最終的にクソかゴミにならない金の使い方なんてこの世にほぼ存在しません。
一円も無駄にしまいと思ったら、生命を維持できるだけの栄養素、雨風がしのげるブルーシートと段ボール、そして局部と乳首が隠れるだけの絆創膏だけで生きるしかありません。
仮にあなたの乳首が、ヘリが着地するマークぐらい広いというのなら、かなりの出費になってしまうでしょうが、そうでなければ、必要最低限で生活は可能です。
しかし、それが「無駄のないクレバーな生き方」かというと、完全に「近所の変わり者」です。
享楽的過ぎてもなんですが、切り詰めすぎも結局「人としてどうか」と他人から後ろ指を指されるのです。
つまり、十分な睡眠、適度な運動、バランスの取れた食事と同レベルで「差し押さえられない程度の浪費」は人間の健全な生活に必要、ということになります。

断酒

あなたがすでに、3日に一度は道路で就寝、ゴミ集積場で起床という規則正しい生活を送っていたり、手首に強めのビブラートがかかっているというのなら別ですが、ちゃんと玄関までは帰りついているというなら、逆に禁酒があなたの心身の健康を損なうと思います。

もし、あなたの生きがいであろうお酒をやめようとしたら、必ず「なんのためにこの腐敗した世界に落とされてきたのかわからない」と、ただの酔っ払いの分際で、ちひろ鬼束か、哲学者みたいなことを神妙なツラで言いだすに決まっているのです。
それに、我慢というのは人を極端に走らせます。あなたレベルの酒好きが無理に酒を我慢すると、キレた時、我慢していた分を取り返そうと、ケツにウォッカを流し込んだり、静脈にメチルアルコールを注射してしまったりして、結局周りに迷惑をかけます。

それよりは、今まで通り勝手に酔っぱらって、勝手にそれを悔いている方が健康ですし、少なくとも周りにとって無害です。

つまり、浪費を止める方向ではなく、いかに浪費した後に落ち込まないかが重要ということです。
考えてみてください。
我々は「これ何に使われるんだろう」という使途不明金を税金として半強制的に徴収されているのです。
それに比べれば、あなたが飲んでいる色付きアルコール汁は、自分の好きなものであり、己の血肉やガンマGTPになるとわかっているものです。
好きなものに好きなだけ金を使っておいて「またつまらぬものを買ってしまった……」と石川五ェ門のツラで凹むなんてバカらしすぎます。

同じ浪費家でも、光の浪費家と闇の浪費家がいます。
光の浪費家は金を使うことに悩みませんし、使った後でも後悔するどころか、使ったこと自体忘れるので「何故か月末になるといつもお金がないんだよねー!」と、まるで金が不思議な力で自動消滅したかのように、頭がハッピーセットなことを平気で言います。
逆に闇の浪費家は金を使う前に悩みます。一見、慎重なように見えますが、何せ浪費家なのでグチグチ悩んだ上で結局使います。つまり、金とさらに時間も無駄にしているのです。
そして、使った瞬間後悔をはじめます。つまり、欲しくて買ったものが全然魅力的に見えてないのです。それどころか「こんな無駄遣いして、老後どうしよう」と数十年先まで暗くしようとします。
片や光の浪費家はすぐに「アタシはこれさえあればシアワセなの!」と言います。ある意味コスパに優れた存在です。
これだけ性質に違いがあるのに、光も闇も「金のなさ具合」は一緒なのです。どうせ金がないなら、何故金がないのかさえわかっていない光側になった方がいいでしょう。

もちろん、これは性格なので、いきなり光並みに能天気になろうと思っても難しいでしょう。しかし幸いにも、あなたの金の使い所は「酒」です。
つまり頭がハッピーになるまで飲み続ければいいのです。少なくとも冒頭の相談文をタイピングできず「くぇrちゅいおp@「@」みたいになるところまで飲めば、この悩みは実質「消えた」と言うことができます。

ちなみに私が酒にあんまり執着がなくやめようと思えばやめられるのは、結局酒がそんなに好きではないからだと思います。逆にガチャは全然やめられません。今月に入ってからすでに、3万ぐらい使ってますし、それらはものの数分で消えました。
しかし、後悔はしていません。ガチャが、そして推しのことが好きだからです。それを悔いるのは推しに対して不敬です。
あなたも酒が好きなら、それを後悔するのはやめましょう。酒という推しに対して失礼です。

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作品について

著者プロフィール

カレー沢薫(かれーざわ・かおる)

1982年生まれ。漫画家・コラムニスト。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビュー。SNSでは“自虐の神"と崇められ、20本近くの連載を抱える人気作家。近刊はエッセイ『女って何だ?』(小社)。現在クラウドファンディングでコラボカフェの開店を企画中。

作品概要

人間関係、金銭問題、趣味沼……
読者から寄せられる様々なお悩みにカレー沢先生が答えます。

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