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科学で毎日を楽しくしませんか?

岩谷圭介(いわや・けいすけ)

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第6回 太陽はなぜ燃え尽きないの?

2016.07.29 更新

最近毎日暑いですね。
夏は日差しが強くジリジリと肌を焼くように照りつけてきます。屋外だけでなく、部屋の中も太陽の熱で温められ、エアコンなしにはしんどい季節です。
こうも毎日暑いと、太陽も時々休んでくれてもいいのにと思いますが、かれこれ46億年ほど太陽にお休みの日はないようです。

太陽系ができて46億年。太陽は一日も休まず燃え続けています。頑張りますね。太陽の寿命は大体100億年と推定されていますから、あと50億年くらいは燃え続けることができるようです。100億年という異常なほど長い時間燃え続けているなんて、驚きませんか?

太陽はとても大きい星です。重さはだいたい地球の33万倍。太陽をボウリングの玉に例えると、地球は米粒くらいです。
これほどまでに大きな太陽だからこそ、長い間燃え続けることができるのかもしれません。
仮に、太陽がすべて木炭でできているとしたら、どのくらいの時間燃え続けていられるか計算してみました。すると、地球の33万倍の重さの木炭がすべて燃え尽きるまでにかかる時間は、たったの2300年だということがわかりました。これは、どういうことでしょう。太陽の寿命の100億年には遠く及びません。
木炭だからダメなのかも知れません。石油だったらもっと長い時間燃えそうですよね。だから、石油でも計算してみました。結果は4600年。木炭よりちょっとは長持ちしますが、それでも100億年には遠く及びません。
莫大な量の燃料を燃やしても、ほんの数千年で燃え尽きてしまうというのに、どうして太陽はこれほど長い時間、光と熱を放ちながら、輝き続けていられるのか不思議ではありませんか?

実は太陽は燃えていないのです。
ここまで、「太陽が燃えている」という表現を使ってきましたが、厳密には「燃えている」という表現は科学的に正しくないのです。これはどういうことかをご説明する前に、そもそも「燃える」とはどういうことなのかをまずご説明しましょう。
木炭や石油、そして紙や木は燃えます。これらを燃やすには火が必要ですが、空気(酸素)がないところでは火がつきません。燃えるためには必ず、燃やすもの(燃料)と炎、そして空気(酸素)が必要なのです。

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太陽の内部には水素とヘリウムが大量にあります。水素は酸素と化学反応をして燃える性質があります。つまり燃えるもの、燃料となるのです。しかし、太陽の内部に酸素はほとんどありません。宇宙空間には酸素も空気もなく、太陽内部の水素は燃えるための条件をそろえていないので、それだけでは燃えることがないのです。ですから、太陽は「燃えて」いるわけではないのです。

燃えていない太陽。しかし、太陽は毎日、強烈な熱と光を出しています。このエネルギーはどうして生まれているのでしょうか。
それは、太陽内部で「核融合」という現象が起きているためです。核融合とは、原子核と原子核がくっつき合う反応のことです。
私たちの身の回りにある、すべての物は原子でできています。原子の真ん中には「原子核」という重たい部分があります。私たちが暮らしている世界では、原子核同士がくっつき合うことはありえません。
しかし、太陽の中はとても特殊な世界です。1000万度以上の高温で、さらに深海をはるかに超える高い圧力がかかっています。
このような特殊な世界では、原子核同士がぶつかると、くっつき合って、より重い大きな原子核が生まれ、核融合が起こります。
この核融合が起こると、莫大なエネルギーが発生します。

太陽の内部にある、膨大な量の水素同士が核融合を起こして別の原子核に変わります。そのときに生まれた巨大なエネルギーのほんの一部が、地球まで届いているのです。

ところで、「核」という言葉を聞くと、どうしても頭に浮かんでしまうのが原子力発電所や原子爆弾です。
原発や原爆もまた、原子核から生まれるエネルギーを利用したものですが、これらが利用しているものは「核分裂」です。

世の中にはたくさんの原子があります。今見つかっているだけで110種類以上。中には小さな原子核を持つものから、大きな原子核を持つものまで、さまざまです。原子核は小さいと安定しているのですが、大きくなると不安定になってきます。
不安定な原子核は2つ以上の原子核に分裂することがあります。これが、核分裂です。
核分裂は、莫大なエネルギーを生み出します。そのエネルギーを兵器にしたのが原子爆弾で、電源にしたのが原子力発電所です。
核融合と核分裂は言葉こそ似ていますが、根本から真逆なので、まったくの別物になるのです。

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著者プロフィール

岩谷圭介(いわや・けいすけ)

民間初の日本国内における上空30kmの撮影に成功。その後も開発を進め日本一の打上げ回数・成功率・世界最高高度記録を樹立。世界最高水準の技術を確立する。国内様々なTV・新聞・雑誌に取り上げられCMや広告にも起用されている。 技術は独力により開発。始まりは大学4年の夏休み、海外のニュースサイトで見た1枚の写真だった。 個人レベルの資金と身の回りの素材を使って切り開いた宇宙開発『ふうせん宇宙撮影』を通じて宇宙を身近に感じてもらうこと、挑戦する気持ちを広げていくために活動している。著書に『宇宙を撮りたい、風船で。 世界一小さい僕の宇宙開発』がある。

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