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科学で毎日を楽しくしませんか?

岩谷圭介(いわや・けいすけ)

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第5回 なにが違うの? 灯油・軽油・ガソリン

2016.07.15 更新

ガソリン価格、気にしていますか?
車を運転している方はガソリン代が常に気になるのではないでしょうか。
ガソリンスタンドの前を通る度に、価格が変わっていますよね。同じガソリンでも、金額がコロコロ変わるのですから、少しでも安い方が嬉しいものです。
ガソリンスタンドでは、いろいろな種類の燃料を売っていますね。「レギュラー」・「ハイオク」・「軽油」・「灯油」。しかしこれらは何が違うのでしょうか? 
今回はちょっと油臭いお話をしましょう。

レギュラー・ハイオク・軽油・灯油。
これらはすべて石油から生まれています。石油とは、地下から掘り出すネバネバした液体のことで、掘り出したばかりのものを「原油」といいます。古代エジプトではミイラの保存のために使用していたそうです。
黒くてネバネバした原油。しかし、私たちの使用するガソリンや灯油はサラサラした透明に近い液体です。これらは原油を分離することで作り出しています。

原油を分離するには、「蒸留」という方法を使います。
蒸留酒という言葉をもしかすると聞いたことがあるかもしれません。テキーラやジンなどのアルコール度数の高いお酒は、同様の手法を使って作り出しています。
蒸留とは、液体を温めて沸騰させて気化したものを、再び冷やして液体に戻して集める技術です。例えば、お酒の場合。お酒はアルコールと水の混合液です。アルコール度数の低いお酒を熱すると、水よりもアルコールの方が低い温度で蒸発する(沸点が低い)ので、アルコールは水よりも先に蒸気になります。その蒸気を再び冷やして液体として集めることで、水を除いてアルコールだけを集め、アルコール純度の高いお酒を作り出すことができるのです。

原油も同じように蒸留することで、主に5種類の燃料に分けられます。

1. LPガス
LPガスとはプロパンガスのことです。家庭で使用するガスは都市ガスかLPガスのいずれかです。ちなみに、私の住んでいる家はLPガスです。ガスコンロや給湯器、お風呂を沸かしたりするために使用しています。
鍋をするときに使用するカセットコンロのボンベに入っているのもLPガスです。

2. ガソリン
ガソリンとは乗用車用の燃料です。ガソリンはとても蒸発しやすい性質があります。そのため、常温でもガスになって空気中の酸素と混ざってしまいます。燃料は酸素と混ざると爆発しやすい状態になるため、ガソリンは危険な燃料です。
ちなみに、ガソリンスタンドに行くと、「レギュラーですか? ハイオクですか?」と聞かれますが、別物ではなく、どちらもガソリンです。ハイオクとは、「ハイオクタン価」の略で、高い出力を出すために設計されているエンジンのための燃料です。ハイオク仕様の車でない限りはどちらを使用しても違いはありません。

3. 灯油
灯油はストーブやヒーターに使う燃料です。北海道では雪をとかすためのロードヒーティングや融雪機に使用されていたりします。
日常生活の中では、灯油のことを石油と言っていたりしますが、石油は精製前の原油のこと、灯油は石油ヒーターの燃料なので、別物です。
ガソリンと違い、気化しにくいので、ちょっと火を近付けても、なかなか着火しません。ですので、灯油はポリタンクに入れて保存することができます。ガソリンは安全上、ポリタンクで保存してはいけません。

4. 軽油
どこのガソリンスタンドでも売られている軽油。しかし使う機会は全くないので、身近なようで馴染みがありませんね。それもそのはず。軽油はディーゼルエンジンの燃料だからです。
ディーゼルエンジンはトラックやタンクローリー、ポンプ車などの大型車に搭載されています。私たちの乗る自家用車にはガソリンエンジンが搭載されていますが、より大きな力が必要な大型の車両を動かすためにディーゼルエンジンが使用されるのです。街にはたくさんのディーゼル車両が走っているので、どこのガソリンスタンドにも軽油が売っているのですね。
軽油は名前の印象的に軽自動車の燃料であるかのように感じてしまいますが、軽自動車に入れると動かなくなってしまいますから絶対に入れないでくださいね。

5. 重油・アスファルト
ガソリンや灯油や軽油はほとんど透明なのですが、重油は黒くてドロドロしています。重油はとても燃えにくい燃料ですが、燃えにくいおかげで他の燃料に比べてとても大きな力を出すことができるので、巨大な船舶や発電所などを動かすことに使用されています。
重油という名前なだけあって、ガソリンや灯油、軽油に比べて重たいです。しかしながら、水よりは軽い燃料です。
アスファルトは私たちにとってとても馴染み深いもので、きっと聞いたことがあるかと思います。道路の材料です。
道路って黒っぽい色をしていますね。道路の材料って、石油の残りカスなんです。一応、石油のカスなので、高温にさらされると、溶け出してしまいます。が、そんなことは日本ではそうそう起こりません。インドや中東などでは酷暑の日に溶け出して道路がうねってしまうことがあるようです。

このように、石油からはいろいろな燃料が作り出されています。これら燃料は、私たちの身の回りにあるほとんどすべての機械や乗り物、インフラの動力源になっています。

私たちが日々使っている電気は、ほとんどが火力発電所によって生み出された電力ですし、お風呂を沸かしたり、料理ができたり、車に乗ることができるのも石油由来の燃料のおかげです。私たちの生活は石油なしには成り立ちません。
ちなみに、私たちの生活を取り囲んでいる、プラスチック。プラスチックも石油から作り出した素材です。また、洋服などの素材でもあるアクリルやナイロン、ポリエステルもまた石油から作り出した素材です。
私たちは石油のおかげで豊かな生活ができているのですね。

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著者プロフィール

岩谷圭介(いわや・けいすけ)

民間初の日本国内における上空30kmの撮影に成功。その後も開発を進め日本一の打上げ回数・成功率・世界最高高度記録を樹立。世界最高水準の技術を確立する。国内様々なTV・新聞・雑誌に取り上げられCMや広告にも起用されている。 技術は独力により開発。始まりは大学4年の夏休み、海外のニュースサイトで見た1枚の写真だった。 個人レベルの資金と身の回りの素材を使って切り開いた宇宙開発『ふうせん宇宙撮影』を通じて宇宙を身近に感じてもらうこと、挑戦する気持ちを広げていくために活動している。著書に『宇宙を撮りたい、風船で。 世界一小さい僕の宇宙開発』がある。

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