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科学で毎日を楽しくしませんか?

岩谷圭介(いわや・けいすけ)

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第2回 色を見分けられるのはなぜ?

2016.05.26 更新

早いもので、もう5月も終わりますね。今年が始まってすでに1年の3分の1終わってしまっているのですから、残りも気を引き締めて、今年挑戦したいことを一生懸命やっていきたいと思います。それにしても、1年間はあっという間に過ぎていきますね。
すでに桜は散ってしまいましたが、桜を追いかけるようにさまざまな花々が咲き始めています。新しい花が咲くたびに、もうそんな季節になったのかと驚かされますね。
青い花や黄色い花、白い花。さまざまな色の花があります。花だけに限らず、私たちはとてもたくさんの色に囲まれて暮らしています。春の気分を出すために、ちょっと明るめな色のシャツをチョイスしてみたり、明るい色の帽子を被ってみたり。たくさんの色のなかから気分に合った色を選ぶのはとても楽しいことです。色はとても身近で、無意識のうちに私たちの生活を包んでいます。
たとえば、同じ黄色でもたくさんの名前があります。からし色、山吹色、レモン色、菜の花色、たまご色、麦わら色、蒸ぐり色……。一見するとどれも黄色ですが、並べてみると少しずつ違っていて本当にたくさんの種類があるのです。
人が見分けることのできる色の数は100万色もあるそうです。それゆえ、同じ黄色でもこれほどたくさんの名前があるのですね。
ところで、色の違いはどうして生まれるのでしょう? 黄色・赤色・青色は何が違うのでしょうか。どうして私たちは色を見分けることができるのでしょうか。今回はなぜ色を見分けられるかを科学的に迫ってみたいと思います。

まず色を見るためには、光が絶対に必要です。色は、光のないところでは見ることができません。真っ暗闇の中では、青色も赤色も黒色も白色も、区別がつきません。私たちは、光が当たって初めて色を見分けることができるのです。
この光ですが、色を見分けるためには、白っぽい色でなくてはいけません。白っぽい光とは、昼間の太陽の光の色や、蛍光灯の色などです。色がついた光だと、正確な色を見分けることができません。
赤いライトの元では、赤いコップも白いコップも両方赤に見えてしまいます。おなじ太陽でも、夕焼け時には昼間とは違う色に見えますよね。
このように、白い光でないと、色を正確に見分けることができないのです。光があって、かつ白い光であること、これが色を見るための大前提です。

ではここから、なぜ人は色を見分けることができるのか本題に入りましょう。
とても分かりやすいのが、白と黒です。白い物体は太陽から受けた白い光をすべて反射し、その光が人の目に入ります。その光を、人は白色だと判断するのです。
では、黒はどうでしょう? 黒い物体はすべての光を吸収してしまいます。光を全部吸収すると、光が反射しなくなるので、人の目には黒く見えてしまうのです。
ちなみに、吸収した光は熱にかわります。ですから、黒色の服を着ていると暑く感じるのです。夏場に黒い服を避けるのは、そのためですね。
光が跳ね返ってこないと黒に見える、このことが分かりやすい例として、ブラックホールがあります。ブラックホールは光を飲み込んでしまうため、光が返ってくることはありません。ですからブラックホールは、宇宙にぽっかりうかぶ真っ黒な穴に見えるのです。

このように白や黒は仕組みがシンプルで分かりやすいのですが、赤や青や緑などの色だと話がちょっと複雑になります。これらの色をなぜ見分けることができるのかを説明するためには、もう少し、光について詳しく知らなくてはなりません。
白い光というのは、本当は赤・だいだい・黄・緑・青・藍・紫……など、さまざまな色が混じり合ってできている光なのです。
しかし人の目では白にしか見えないのにどうしてそんなことが分かるのかというと、プリズムというものを使うことで白い光を分解することができるからです。プリズムとは、下の写真のような、透明な三角柱の物体です。

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このプリズムに白い光を当てると、赤・だいだい・黄色・緑・青・藍・紫……などの混じり合っている色に分解することができます。その様子は下図のようになります。

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この色合い、どこかでみたことはありませんか。そうです、虹です。虹もまた、太陽の白い光を分解してできた色なので、あのように何色もの色が見えるのですね。
プリズムを使って分解した太陽の白い光には、人間が見ることができるすべての色の光が含まれています。これを「可視光(かしこう)」といいます。
可視光は下図のように無限の色の光を含んでいるのです。

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白い光のなかにはたくさんの色が含まれていることが分かると、なぜ人が赤や青や緑といった色を見分けられるのかが分かるようになります。
赤や青や緑などの色は、白い物体を見た場合の反射と黒の物体を見た場合の光の吸収の合わせ技のようなことが起きています。
例として葉っぱの緑色についてお話していきます。植物に当たった白い光は、可視光のすべてが含まれていますが、植物には、緑以外の色を吸収してしまう性質があります。吸収した緑以外の色の光は光合成に使われ、植物の栄養になります。
緑だけは吸収しませんから、植物は緑の光だけを反射します。その光が人の目ると、「葉っぱって緑なんだ~」と見えるわけです。
赤や青の物体も同様です。赤以外を吸収してしまい、赤だけ反射するから赤に見えるのです。

このように、色というのは、物体そのものに色がついているのではないのです。緑に見える物体は緑の光を、青に見える物体は青い光を反射する性質があるから、その色の光を見ているということなのです。どんな色の光を吸収するのかという物体それぞれの特徴の違いによって、青や赤や緑という色が生まれているのです。

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著者プロフィール

岩谷圭介(いわや・けいすけ)

民間初の日本国内における上空30kmの撮影に成功。その後も開発を進め日本一の打上げ回数・成功率・世界最高高度記録を樹立。世界最高水準の技術を確立する。国内様々なTV・新聞・雑誌に取り上げられCMや広告にも起用されている。 技術は独力により開発。始まりは大学4年の夏休み、海外のニュースサイトで見た1枚の写真だった。 個人レベルの資金と身の回りの素材を使って切り開いた宇宙開発『ふうせん宇宙撮影』を通じて宇宙を身近に感じてもらうこと、挑戦する気持ちを広げていくために活動している。著書に『宇宙を撮りたい、風船で。 世界一小さい僕の宇宙開発』がある。

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