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科学で毎日を楽しくしませんか?

岩谷圭介(いわや・けいすけ)

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第3回 カロリーってなに?

2016.06.16 更新

“カロリー”気にしていますか? ステーキ、焼肉、ピザにケーキ。おいしいものはどうして高カロリーなのでしょう。ついつい食べ過ぎたりすると、次の日なんだか顔がむくんでいるような感覚が。しまったな、と思って体重計に乗ると、やはりしっかりと体についていてげんなり。そんな経験、誰しもあるのではないでしょうか。
カロリー=太る、というイメージはすっかり定着しています。一方、野菜や海藻は低カロリーだといわれていますよね。
成人男性は1日に2,000キロカロリー、成人女性は1,800キロカロリーくらい摂るのが、健康的な生活をするのにちょうどいいそうです。
なにかと気になるカロリーですが、そもそもカロリーってなんなのでしょうか?

科学の世界では下記のように決まっています。

1グラムの水の温度を1度上げるのに必要なエネルギー=1カロリー

エネルギーと書かれていますが、栄養や太ることについては一切触れられていません。本来、カロリーとは、食事に関連していないのです。
簡単にいうと、カロリーとは単位です。メートルやグラムと同じで、エネルギーをはかったり比べたりしやすいように、カロリーという単位を作ったのです。

「1日2,000キロカロリー摂取しなくてはいけない」ということは、1日2,000キロカロリーのエネルギーが必要ということです。2,000キロカロリーは、200万カロリーです。(※キロは1,000倍のことなので、1キログラムは1,000グラムです。同様に、2,000キロカロリーは、2,000,000カロリーです)。
200万カロリーというと、1グラムの水を200万度まで上げることができるエネルギーです。これはすごい熱量です。寝ぼけたりだらけたりしながらご飯を食べていても、これほど膨大なエネルギーを作っているのですから、働き者ですね。
私たちは、体温を一気に80度にしてしまうほどのエネルギーを毎日食事から摂っているということなのです。
しかし人間なんてせいぜい42~43度の熱が出れば命の危機にさらされますから、80度なんてとても耐えられません。けれども、私たちの体は、確かに80度になるくらいの熱を作っているのです。
しかしなぜ、これほどの熱が発生しているのに、体の中は灼熱にならないのでしょうか。

理由は2つあります。
1つは、熱がいっぺんには生まれないからです。人間は食料を一気に熱に変えずに、少しずつ作っています。人間の体は、熱を熱のままの状態でため込むことができません。そのため、脂肪としていつでも熱に変えられる状態で体の中に蓄えます。この仕組みがカロリーを摂りすぎると太ることと関係していますが、後述しましょう。
もう1つは、体は常に冷やされているということがあります。
私たちは空気の中で暮らしています。この空気は、大抵体温よりも温度が低いです。熱は、必ず高いところから低いところに移動します。つまり、体から空気に熱が移動していくと、熱を奪われた体はどんどん冷えていきます。
人間は体温が36度程度なくては生きていけませんから、体を温め続けていなくてはなりません。そのため、常に奪われている熱を、体が作り続けているのです。ちなみに、人間が大勢いる部屋が暑くなっていくのは、人間から出る熱のせいです。

さて、ではどうしてカロリーを摂取し過ぎると太るのか。それは、体の蓄える仕組みが原因です。
人が生きるのに必要なエネルギーは、成人男性でおおよそ1日2,000キロカロリーです。このエネルギーを使って、体を温めたり、いろいろ考えたり、運動したりしています。しかしエネルギー源となる食べ物を必要以上に摂取しすぎた場合、1日で使い切ることができません。それでも、体はいつでも使えるように蓄えてしまいます。このようにエネルギーを蓄え続けることが、太ってしまう原因となるのです。
つまり太らないためには、1日で必要な分だけの栄養を取ればよいのです。
ただ、マイナスはいけません。生きるために熱を生んだり、動いたりするために必要なエネルギーは決まっていますから、とらなくては干物になってしまいます。無理な食事制限は体に毒なのです。

ちょっと食事から離れてみましょう。カロリーは、ガソリンや石炭を燃やすことによっても得られます。1リットルのガソリンを燃やすと大体8500キロカロリー、つまり人間が生きるために必要な量の4日分くらいのエネルギーが生まれます。もちろん、人間はガソリンでは動かないのですが。
機械だけでなく、太陽や、原子炉が生み出すエネルギーもすべてカロリーで表すことが出来ます。
カロリーは、食事だけに関連するものではないのです。

ちなみに、野菜は人間にとっては低カロリーですが、ほかの生物にとっては高カロリーとなることもあります。例えば、馬やヤギなどの草食動物や、草食性の昆虫にとって、野菜はエネルギー源になります。
これは、野菜に含まれているセルロースという栄養素に関係があります。人間はこのセルロースを分解する能力がないので、草食動物にとってはエネルギー源となるセルロースを、単なる食物繊維としてでしか摂取できません。せいぜい、胃腸を刺激して便通がよくなるだけ、です。カロリーが高いか低いかは、食べ物自体ではなく、それを食べる生物によって決まっています。
ガソリン1リットルで8,500キロカロリーと書きましたが、セルロースと同様に人間はガソリンを分解したり燃焼したりする機能がありませんから、エネルギーにすることができません。野菜同様に、ガソリンも人間にとっては0キロカロリーになるのです。

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著者プロフィール

岩谷圭介(いわや・けいすけ)

民間初の日本国内における上空30kmの撮影に成功。その後も開発を進め日本一の打上げ回数・成功率・世界最高高度記録を樹立。世界最高水準の技術を確立する。国内様々なTV・新聞・雑誌に取り上げられCMや広告にも起用されている。 技術は独力により開発。始まりは大学4年の夏休み、海外のニュースサイトで見た1枚の写真だった。 個人レベルの資金と身の回りの素材を使って切り開いた宇宙開発『ふうせん宇宙撮影』を通じて宇宙を身近に感じてもらうこと、挑戦する気持ちを広げていくために活動している。著書に『宇宙を撮りたい、風船で。 世界一小さい僕の宇宙開発』がある。

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