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科学で毎日を楽しくしませんか?

岩谷圭介(いわや・けいすけ)

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第11回 お風呂と気温、同じ温度なのに違うのはなぜ?

2016.12.16 更新

ほんの数カ月前までは毎日暑かったのに、もうすっかり寒くなりました。早くも夏が恋しくなってしまいそうですが、夏は夏で暑くて大変ですよね。近年、35度を超えることも珍しくなくなるなど、暑さが年々厳しくなっています。
統計的にも明らかに増えているので、昔より暑い日が増えたと感じるのは、気のせいではないようです。
しかし、そうなった原因はいまいちわかっていません。ある学者は車や発電所が排出する二酸化炭素が原因だと主張していますし、別の学者は太陽が活性化しているからだと主張しています。さまざまな主張がありますが、どれも正確に検証できていないため、いまいちはっきりとわかっていないのです。しかしながら、世界的に見ても、地球の表面温度が上がっていることは間違いないようです。

気温35度。35度というとかなり暑いです。しばらく外にいたら熱射病になってしまうほど耐え難いものです。気温35度は暑い、これは間違いないことです。
しかし、お風呂の35度はどうでしょう。35度のお風呂はぬるくて体が冷えてしまいますよね。
お風呂も気温もどちらも同じ35度です。それなのにどうして、一方は暑くもう一方はぬるく感じるのでしょうか。

理由は3つあります。

まず、空気は「熱を伝えにくい物質」であるということです。
私たちは、空気や水、金属やプラスチック、ガラスなど様々な物質に囲まれて生活していますが、物質によって熱の伝えやすさは違ってきます。
熱の伝えやすさを持つ性質として分かりやすいのが、鉄や銅、スズなどの金属です。金属はとても熱を伝えやすい性質をもった物質です。だから、フライパンや鍋は金属でできているのですね。
この熱の伝えやすさで、温度の感じ方が変わります。例えば、日光にさらされている鉄棒やドアノブなどの金属を不意に触わってしまいとても熱かった、という経験をしたことはありませんか。これは金属が熱を伝えやすい物質ゆえに起こる現象です。同じ温度まで温まったとしても、木材であれば触っても熱く感じません。
金属と木材では熱を伝える速度が違っていて、金属の方が熱が移動する速度が速いので、より熱く感じるのです。
寒くなると着るセーターやダウンジャケット。これらの衣類は空気を多く含むようにできています。服の中に熱を溜めるという空気の性質を利用して、暖かくなるように作られているのですね。羽毛布団も同じ理屈です。ほかにも、住宅の壁や床下に入っている断熱材も、空気を利用できるように作られています。
空気が持つ、熱を伝えにくいという性質が、私たちの生活に利用されているおかげで、私たちは暖かく快適な暮らしができるのですね。
一方、水は空気より24倍も熱を伝えやすいので、あっという間に熱を奪ってしまいます。空気の性質が、35度の気温で熱く感じる1つの要因なのです。

次に、人間が恒温動物であることも関係しています。
恒温動物とは食べ物を食べたエネルギーで熱を作り、体温を一定に保つ生き物のことです。
私たちの平熱は、暑い日も寒い日も、おおむね37度程度に保たれています。恒温動物は、暑い日であっても熱を作り続けますから、暑い日は熱を体の外に放出しないと熱中症になって、ひどい場合には死んでしまいます。
それでは困るので、恒温動物の体には、発汗という便利な機能が備わっています。
汗の主成分は水です。水は蒸発するときに、大量の熱を奪います。汗が乾くとき涼しく感じるのはこのためです。汗を出し、それを気化させることで体温調節をしているのですね。
しかし、汗はいつ何時も乾くわけではありません。その日の天候に左右されます。

そう、湿度です。
水の蒸発は空気の湿度に左右されます。湿度が低ければ蒸発しやすく、高ければ蒸発しにくくなります。雨の日、洗濯物が乾きにくいのは、湿度が高いからなのです。
日本は高温多湿ですから、汗が乾きにくい気候です。気温が高くてじんわりとした蒸し暑い日は、汗が乾かず気持ち悪いですよね。高温多湿な日は、せっかく汗をかいても体の熱を冷ますことができません。すると熱が体の中に溜まったままになってしまい、苦しくなるのです。

以上3つの理由、空気の熱の伝えにくさ、恒温動物であるから、そして気候の特徴から、人は35度の気温を暑いと感じるのです。

しかし、35度の気温が暑いと感じるのは、あくまで高温多湿の場合です。
例えばサウナ室の室温は100度ほどありますが、火傷することも、死ぬこともありません。サウナ室では大量の汗をかきますが、湿度が低いので、この汗が蒸発し、体を冷やしてくれているのです。高温低湿であれば、気温が高くても暑く感じることはないのです。

温度と一概に言っても、人間の性質や、物質の性質、湿度などが絡み合って、違って感じられるのですね。

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著者プロフィール

岩谷圭介(いわや・けいすけ)

民間初の日本国内における上空30kmの撮影に成功。その後も開発を進め日本一の打上げ回数・成功率・世界最高高度記録を樹立。世界最高水準の技術を確立する。国内様々なTV・新聞・雑誌に取り上げられCMや広告にも起用されている。 技術は独力により開発。始まりは大学4年の夏休み、海外のニュースサイトで見た1枚の写真だった。 個人レベルの資金と身の回りの素材を使って切り開いた宇宙開発『ふうせん宇宙撮影』を通じて宇宙を身近に感じてもらうこと、挑戦する気持ちを広げていくために活動している。著書に『宇宙を撮りたい、風船で。 世界一小さい僕の宇宙開発』がある。

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