キノノキ - kinonoki

キノノキ - kinonoki:ナビゲーション

カサノヴァ 人類史上最高にモテた男の物語

鹿島茂(かしま しげる)

カサノヴァ 人類史上最高にモテた男の物語 ブック・カバー
バックナンバー  123 

第3回 いささかの欠点も見出せない美女との恋

2017.06.30 更新

 パウリヌがポルトガルに帰った後、カサノヴァは虚脱状態に陥ったが、しばらくすると、持ち前の好奇心が頭をもたげてきて、ロンドンのカフェや街頭で交わされている会話を採取して歩くようになる。このとき観察された風俗・習慣の中には後には失われたものもあるので、歴史探偵としては、そのいくつかを紹介しておきたいと思う。

 一つは、ボザンケという手形割引人との会話である。証券取引所に興味深い人物がいたので、「あれは誰か」とカサノヴァが尋ねると、ボザンケは「彼は十万ギニーの価値のある男です」と答えた。「じゃあ、あちらの人は?」との質問には、「全然価値のない男です」との答え。驚いたカサノヴァが「いや、わたしは彼らの名前をお尋ねしているんですよ」というと、ボザンケはこう説明したのである。

 「そんなものは知りません。名前なんかは何でもないものですからね。ひとりの人間の面識なんかは、彼がどれほどの手形を振り出せるかを知ることにあるのですよ」(以下、引用は窪田般弥訳『カサノヴァ回想録』)

 人の価値とアイデンティティは、その人が振り出せる手形の額で決まり、名前なんかは任意のものでいいという「匿名の思想」は「ジョイント・ストック・カンパニー」、フランス語でいうところの「ソシエテ・アノニム(匿名の会社)」、すなわち株式会社の根幹であり、前回に紹介した、イギリスでは紙幣(イングランド銀行券)のほうが金貨よりも信用されているというエピソードと密接に関係しているのである。

 もう一つ、カサノヴァがイギリスで仰天したものに、イギリス人たちの異常なまでの賭け好きというのがある。カサノヴァが同国人のマルチネリと道を歩いていると、人だかりがしている。ある男がもう一人の男と喧嘩してこめかみに一撃をくらい、死にそうな重傷を負っているらしい。居合わせた医者が瀉血をして治療しようとしたが、別の二人の男が瀉血を禁じているという。その理由は、一人が死ぬほうに賭け、もう一人が死なないほうに賭けたので、余計な治療などさせたくないかららしい。カサノヴァがイギリス人の賭け好きに呆れ返ると、マルチネリは賭博者の友誼団体を紹介してやろうと言い、その団体について解説した。

 「誰かが間違いない事実として語ったことを、別の誰かが否定した場合、もし前者の人間が、それでは賭けるかと切り出したら、後者はこれに応じ、負けたときには罰金を払わなければなりません。その金を、会員たちは月末に分配するのです」

 ロンドンではいまでもいたるところに「ブックメーカー(賭け屋)」の看板を見かけるが、イギリス人の賭け好きはこのころから変わっていないようである。

 もう一つの証言は、立ち小便に関するものである。以下は、バッキンガム宮殿に向かう道すがら、四、五人の男が車道に向かってことに及んでいるのを見て驚いたカサノヴァがマルチネリと交した問答である。

 「ご覧のように、英国人は道を歩いて用を足したくなると、われわれの国の人間のように、誰かの家の門とか、そこの出入口や中庭に行って小便をしたりしないんです」

 「そうだね。連中は道の中央の方に背を向けて、そこで小便をする。だけど、馬車で通る人たちには見られてしまう。こいつは、どうもうまくないように思えるけど」

 「馬車で通る人たちに、あれを見ろなんて誰が命令したかね?」

 「そう言われればその通りだ」

 ところで、カサノヴァは最後まで英語が話せるようにならなかったので、付き合いはおのずと大陸からロンドンにやってきた人間に限られていたが、そうした人間には当然ながら山師やペテン師など怪しげな連中が多かった。そんな一人に、かつてエクス・ラ・シャペルで窮地から救ってやったことのあるマランガンというフランドルの士官がいた。その士官の家に招かれたとき、一人の老婆が美しい娘をつれて現れた。娘は、十三歳のとき、パリでカサノヴァに会ったことがあると話しかけ、その際にはアウグスプルガーという名前だったが、四年前に母や伯母たちとロンドンにやってきて以来、ソーホーのデンマーク街に住んで、シャルピヨンという名前になっていると語った。

 カサノヴァはシャルピヨンという名前を聞いて、リヨンでモロジニ長官から託されていた手紙のことを思い出し、書類入れから取り出して彼女に渡した。モロジニ長官はシャルピヨンに言い寄っていたらしい。

 シャルピヨンが伯母と一緒にお宅に伺いたいと言い出したので、カサノヴァが住所を教えると、シャルピヨンは、「二カ月前に風変わりな掲示を出したのはあなたでしたか」と驚き、じつは、あんな掲示を出した男をこらしめてやりたいと思ったと打ち明けた。

 「あたしに惚れさせてから、手玉にとって地獄の苦しみを味わわせてあげますわ。ああ! そうしたら、あたしはどんなに笑いころげることでしょう!」

 これに対して、カサノヴァは如才なくこう答えた。

 「それなのに、あなたが化け物のようなお姿をしていないというのは、男にとっては不幸なことです。わたしは用心しながら、あなたの率直さを利用させていただきましょう」

 シャルピヨンは言い返した。

 「無駄ですわ。あたしに会うのをおやめにならない限りは」

 後にカサノヴァはこのときの会話を次のように回想するはめになる。

 「わたしが死に始め、生きることを終えたのは、一七六三年九月初旬のこの宿命的な日だった。わたしは三十八歳になっていた」

 シャルピヨンは十七歳で、髪は薄い栗色、目は青く、肌は抜けるように白い。胸は小さかったが、形は完璧で、ひとことで言えば「いささかの欠点を見出すこともむずかしいような美女」だった。カサノヴァは自分を籠絡してやると初めから宣言したシャルピヨンの魅力に逆らえないことを悟っていまさらながら驚いたが、しかし、寝てしまえばみな同じだろうとたかをくくっていた。

 ロンドンで一番親しくなった遊び人の一人にベンブロック卿がいた。卿はカサノヴァの家の食事に招かれたとき、同席者がシャルピヨンとその伯母であることを知ると、こんなことを語った。ヴォックスホールを散歩中、伯母と一緒にいたシャルピヨンに「お嬢さん、暗い小径を散歩してくれたら前金で二十ギニーあげましょう」と言ったところ、まんまと金だけ取られて逃げられたというのである。そしてカサノヴァに「彼女は全力を上げて、あなたをひっかけようとしているあばずれです」と注意を促した。しかし、食卓に現れたシャルピヨンは、あれは自分を深く愛させるための手管でしたとうまく言い逃れ、明後日、昼食に来るようカサノヴァを誘った。

 シャルピヨンの家に出向き、母親を見たとたん、カサノヴァはそれが一七五九年に六千フランの為替手形で宝石の取り込み詐欺を働いたアウグスプルガー姉妹の一人だと気づいたが、その話を持ち出したりはしなかった。しばらくすると、同じくアウグスプルガーと名乗る祖母が二人の娘、つまりシャルピヨンの伯母たちを連れて入ってきた。さらに三人の男が現れた。一人はパリで知り合ったグーダール勲爵士だが、他の二人とは面識がなかった。いずれも職業的ないかさま師で、この家にインチキ賭博のカモになるような旅人をつれてくる係だった。しかし、騙されたふりをしてでもシャルピヨンをものにしたいと考えたカサノヴァは敢えてその場を立ち去ることなく賭けに応じ、鷹揚に負けてみせた。

 三日後、シャルピヨンが伯母を伴って朝食を取りにきた。二人きりになるとシャルピヨンは伯母の救済事業に百ギニー投資してくれないかと切り出した。カサノヴァは気前のいい態度を示し、ソファーの上でにじり寄ったが、シャルピヨンはカサノヴァの手を払いのけると部屋を逃げ出した。しかし、立ち去る前に、夕方またみんなと一緒に訪れると言ったので、カサノヴァは期待に胸をふくらませて待つほかなかった。

 シャルピヨンがやってくると、カサノヴァは百ギニーは用意してあると告げ、朝と同じことを試みたが無駄だった。シャルピヨンは、自分は金や暴力では決して身を許したりしない女だが、もしカサノヴァが優しく振る舞ってくれるなら友情を期待してくれてもいいと言い放った。カサノヴァはこれをもっともな言い分だと感じ、性急にことを進めるのを控えることにした。

 しかし、シャルピヨンが帰ってしまうと、明らかにいいカモにされていると思い返し、寄宿学校に預けてある娘のソフィを訪ね、気を紛らすことにした。おかげで、三週間ほどはシャルピヨンを忘れることができたが、ある朝、伯母がやってきて救済事業への出資話を蒸し返し、シャルピヨンもカサノヴァから愛されているとわかれば何もかも許すはずだから、もう一度試みてみろと焚き付けたので、欲望がふたたび頭をもたげてきた。

 伯母はいますぐ家にくればシャルピヨンはベッドに寝ているとそそのかしたので、すっかりその気になったカサノヴァが十五分後に部屋をノックすると、伯母がこっそりとドアを開けてくれた。いま彼女は風呂に入っているという。カサノヴァがまた騙されたかと逆上すると、伯母はあとについてこいと命じ、四階に上がってドアを開け、カサノヴァを中に押し込んだ。

 「わたしは、全裸で浴槽につかっているシャルピヨンの姿を見た。彼女は、入ってきたのは伯母だと思っているような振りをして、タオルを持ってきてほしいと言った。彼女の姿態は、愛の神が望み得る最も魅惑的な姿態だった。しかし、わたしの姿を認めると、彼女はすぐにかがみ込んで大声をあげた」

 激しい言い合いが始まったが、シャルピヨンはカサノヴァに一指も触れないと約束させてから、わざと挑発的な姿勢をとり、カサノヴァが懸命に欲望を抑えようとしているのを見ると、込み上げてくる笑いを隠すためか、背中を向けて尻を見せた。

 そこに伯母が入ってきて満足したかどうか尋ねたので、カサノヴァはやけくそになって百ギニー紙幣を投げてやった。

 それから五、六日後、ヴォックスホールでまた同じような挑発と抵抗が繰りかえされたので、さすがのカサノヴァも諦めかけたが、すると頃合いを見計らったように、またシャルピヨンが訪ねてきた。カサノヴァが伯母や母に金を渡して自分と寝ようとしていることに対して釈明を求めにきたというのである。

 「あたしは、あなたが二週間だけあたしの家に熱心に通って下さり、そのあいだ、ほんのわずかな愛のしるしも決して要求されないという条件でしたら、百ギニーのことなどには言及せず、必ずあなたを満足させるとお約束したことでしょう。(中略)あたしは人を愛するために生まれてきたのだと思っていますし、あなたこそ、あたしを幸福にするために天が英国にさし向けられた男性だと信じておりました。ところが、あなたのなさったことはその反対でした」

 この雄弁にカサノヴァはすっかり参ってしまった。その通りだと思ったのだ。そして、以後、毎日、シャルピヨンの家に接吻一つ求めることなく通いつめ、二週間後には、完全に恋の虜となってしまったのである。

 ようやく、禁欲の二週間が明け、約束の日がやってきた。母親から、しばらくあたりを一回りして戻ってきてほしいと要請されたので言われた通りにすると、応接間にはベッドが一つだけ置かれていた。母親から百ギニー前払いしてくれと請求されたので、カサノヴァはもう間違いはあるまいと確信した。

 「わたしは両腕をひろげて近づいていった。ところが、彼女はやさしくではあったが、身を引き、自分も寝る用意をするから先にベッドに入ってくれと言った。わたしは彼女の意志を甘んじて受け、服を脱いで横になった。恋に燃えたわたしは、彼女が服を脱ぐところを見ていた。肌着一枚になると、彼女は蝋燭を吹き消した」

 ところが、いざカサノヴァが挑みかかろうとすると、シャルピヨンは拒み続けた。怒り狂ったカサノヴァは肌着を引き裂いて腰の下まで肌をむきだしにした。

 「わたしは手を爪にして、世にも粗暴な暴力に頼ったが、こうしたいっさいの努力も空しかった。力つきたわたしは、もうやめようと思った。そして、一方の手が彼女の首を摑んだとき、締め殺してやりたいという激しい衝動にかられた。まことにそれは残酷な夜であり、痛ましい夜だった」

 結局、一晩中、シャルピヨンは肉体を開こうとせず、抵抗しつづけたのである。朝の三時に、ついに試みを放棄したカサノヴァは怒りにかられて自宅に戻ったが、一時間後、激しい悪寒を感じ、そのまま三日間、高熱を発して寝込んでしまった。

 四日目にようやく起きられるようになると、シャルピヨンの母親から手紙が二通とシャルピヨン自身の手紙が一通届けられていた。母親はカサノヴァのおかげで娘は全身傷だらけになったので裁判所に訴えると書いていた。いっぽう、シャルピヨンの手紙には、締め殺されそうになったときは怖かったが、次にはもう逆らったりしないと書いてあった。

 カサノヴァは二度とシャルピヨンには会うまいと決心していたが、二週間後にシャルピヨン自身が駕籠に乗って現れ、体のあちこちに残っている傷跡を見せると、決心はたちまちぐらついてしまう。

 「わたしは傷跡しか見ていない振りをした。しかし、なんという馬鹿なことか! 彼女はすでに、わたしが毒薬を味わい、呑み込んでしまったことさえも知っていたのだ。(中略)そして、もっとまずいことには、この娘がふたたびやってきたのはわたしを騙すためではなく、わたしを愛している以上、当然のことながら、わたしにやさしい友人となってもらいたいということを納得させるためなのだと、そう信じたい気持ちになっていたことだった」

 カサノヴァはシャルピヨンと暮らすためにチェルシーに家具付きの家を借り、毎月五十ギニーを与えると約束し、母親にも百ギニーを与えて納得させた。

 チェルシーの家はシャルピヨンの好みにぴったりで、その晩、二人は陽気に夕食を取ってからベッドに入った。しかし、カサノヴァがことに及ぼうとすると、シャルピヨンはあれこれと理屈を並べて抵抗し、カサノヴァをそのまま眠らせてしまった。

 翌朝、起きてみると隣にシャルピヨンが寝ていた。カサノヴァは騙されたわけではないと確信し、下着を脱がそうと試みたが、またもや、シャルピヨンはギリギリのところで激しく抵抗を示した。

 「そうするうちに、彼女は非常な悪態をつきながら服を着始めたので、ついにわたしも激しい平手打ちをくわさないではいられなくなった。それから、思いきり足を上げて蹴とばしてやると、彼女はベッドから転がり落ちた。彼女は泣き叫び、足を踏み鳴らした。家主も上がってきた。彼女はドアを開け、鼻血をどくどくと流しながら英語で彼に話しかけた」

 シャルピヨンが立ち去ると、カサノヴァは自己嫌悪に陥り、絶望から自殺の誘惑が訪れてくるのではないかと恐れたが、仲介役のグーダールから、シャルピヨンの母親はあいかわらず一家のよき友として交際しつづけてくれと言っていると伝えられたので、シャルピヨンの家に出向くことにした。

 そこでカサノヴァはDVを犯した夫のような深い後悔の念に駆られ、ありとあらゆるプレゼントでシャルピヨンを覆い尽くそうとした。すなわち、このうえなく上等の鏡とザクセン焼きのコーヒー・セットと紅茶セットを贈り、さらには六千フランの為替手形を渡してやることにした。

 「彼女はやさしそうに見えた。ところが、彼女にわたしの情熱の炎を浴びせる覚悟をさせようとすると、彼女は拒み、わたしを胸に抱きしめ、さめざめと涙を流した。わたしは気持ちをじっと抑えた。そして、ベッドに入ったら思い直してくれるかと尋ねた。彼女は溜息をつき、それから、だめだわと答えた」

 このときは、辛うじて自制が利いた。カサノヴァはマントと帽子と剣を取り上げ、「今夜はやめたよ」と言って自宅に戻ったのである。

 翌日、シャルピヨンがやってきたので、カサノヴァは昨日預けた二枚の為替手形を返してほしいと言い、強い怒りが込み上げてきたので思わず涙をこぼしてしまった。するとシャルピヨンは自分がこうしてカサノヴァの家にやってきたのは彼を心から愛しており、自分の欲望も同じくらいに強いものだということを知ってもらおうと思ったからだと語り、「自分をお取り戻しになったら、すぐにあたしの家に来てほしい」と伝えた。

 その後、マランガン氏の家でカサノヴァと再会したシャルピヨンはマランガン氏の一家と一緒に出掛けたピクニックの最中、草むらにカサノヴァを誘い、今度こそ身を任せるようなそぶりを見せた。有頂天になったカサノヴァは二度と為替手形の請求などしないと誓い、自分の持ち物すべてを与えると約束した。

 「わたしは、勝利の月桂樹を摘み取るようにと、そう彼女に誘われたと思った。ところがその瞬間に、まさにわたしがそれを摘んだと確信した瞬間に、彼女は強情に抵抗し、わたしを啞然とさせた」

 怒り狂ったカサノヴァは左手で力まかせにシャルピヨンを締め上げ、右手でポケットから短剣を取り出すと、歯で鞘を払い、切っ先を彼女の喉もとにつきつけた。

 すると、シャルピヨンはこう言い放ったのである。

 「好きなようにして下さい。命だけはお許し下さい。しかし、あなたが満足されたら、あたしはもう帰りません。力づくでしかあたしを馬車に連れ戻すことはできないでしょうが、あたしは誰にも、どうしてそんなことをするのかということを言ってやりますわ」

 お見事! なんという度胸のすわったセリフだろうか! 殺されるかもしれないというときに、逆にカサノヴァの無礼を完全に返り討ちにしているではないか!
事実、カサノヴァはすぐに理性を取り戻し、振るまいを激しく後悔した。そればかりかシャルピヨンのくそ度胸に「感嘆」してしまったのだ。

 「彼女はまるで何事もなかったように、わたしの後についてきて、そしてわたしの腕をとったが、どうしてこのようなことができると思えるだろうか? この種の闘いを何回となく経験しない限りは、十七歳の娘にこんなことはとてもできるものではないのだ」

 ところで、ここまでカサノヴァの回想録を読んできたわれわれは、『三銃士』のミラディばりの天晴れな悪女ぶりを示すシャルピヨンに賛嘆の念を抱くと同時に、もしかするとシャルピヨンにはセックスを拒否するしかるべき理由があるのではないかと疑りたくなる。つまり、セックスの瞬間になると強烈なトラウマが蘇ってきて思わず男性を撥ね付けるセックス拒否症なのではないかと思ってしまうのである。

 だが、やがて、その推測は誤りであったことがわかる。その「まさか」の逆転劇については次回、乞うご期待としておこう。

バックナンバー  123 

著者プロフィール

鹿島茂(かしま しげる)

1949年、神奈川県生まれ。仏文学者。明治大学教授。専門は19世紀フランス文学。膨大な古書コレクションを有し、東京都港区に書斎スタジオ「NOEMA images STUDIO」を開設。著書に『馬車が買いたい!』(サントリー学芸賞)、『子供より古書が大事と思いたい』(講談社エッセイ賞)、『職業別パリ風俗』(読売文学賞)、『神田神保町書肆街考』、『19世紀パリ時間旅行—失われた街を求めて』など多数。

ページトップへ