キノノキ - kinonoki

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2019年 05月

新・世にも小さな ものがたり工場 表紙

2019年05月31日

「物語の物語」(行方行)

新・世にも小さな ものがたり工場

ショートショート大賞優秀賞受賞者

 奇跡があるなら、神様だっている。  ──面白い物語を書きたい。  少年の強い願いは、神様に聞き入れられた。  叶えてあげよう。  少年の古いノートパソコンの集積回路を未来のものにすり替え、古今東西の膨大な物語を読み込ま […]

新・世にも小さな ものがたり工場 表紙

2019年05月31日

「水たまりの向こう側」(滝沢朱音)

新・世にも小さな ものがたり工場

ショートショート大賞優秀賞受賞者

「水たまりはセーブポイントだよ」  雨上がりの朝、父さんがよく言った言葉。  あれはきっと、ぬかるんだ道をきらう僕を、保育園に間に合わせるための方便だったのだろう。  だとしたら効果は抜群だった。ゲーム好きの僕は上機嫌で […]

新・世にも小さな ものがたり工場 表紙

2019年05月31日

「傘、貸します」(恵誕)

新・世にも小さな ものがたり工場

ショートショート大賞優秀賞受賞者

 リラさんが今日も雨に濡れている。  霧雨程度なら気にしない、という人はいるけど、彼女の場合は本降りでも傘をささない。  私は持ってきた傘の持ち手を、リラさんへ向けた。  しかし彼女はにっこりと微笑んで首をふるので、そっ […]

新・世にも小さな ものがたり工場 表紙

2019年05月31日

「ヘデラポスカ」(山岐信)

新・世にも小さな ものがたり工場

ショートショート大賞優秀賞受賞者

 空港から車で八時間のプァルククに辿り着いた時には、線香花火のように赤々と膨張した太陽が、地平線の向こうに落ちかけていた。  梅雨入りした日本とちがってジメジメしてはいないが、こちらはこちらでからりと暑い。半袖のうえに羽 […]

縁もゆかりもあったのだ 表紙

2019年05月31日

祖母の桜

エッセイ

縁もゆかりもあったのだ

こだま

「おばあちゃんが死んじゃった」  朝、同居する祖母を起こしに行くと、布団の中で冷たくなっていたという。  母から電話でそう告げられたのは、私の入院当日だった。   1泊2日の入院を5回繰り返す。持病の痛みを取るために、そ […]

新・世にも小さな ものがたり工場 表紙

2019年05月31日

「滞留」(霜月透子)

エッセイ

新・世にも小さな ものがたり工場

ショートショート大賞優秀賞受賞者

 雨に煙る田舎道に、古びた小屋がぽつんとある。バス停留所案内表示板が立っているから、小屋は待合所なのだろう。中には老いた女が一人いるだけだ。女は不安げに皺だらけの手をもみ合わせたり、ベンチに腰掛けたまま身を乗り出して道の […]

緑 表紙

2019年05月31日

第12回

小説

東 直子(ひがし・なおこ)

「敬さん」という名前を口にした春枝の顔を、その唇を、佐和子は笑顔のままじっと見つめた。 「たかしさん」  自分が幼い敬に向かって、そう呼びかけていたことを、佐和子は思い出した。今の春枝ほどではないが、もっと若かったころの […]

カレー沢薫のワクワクお悩み相談室 表紙

2019年05月24日

カレー沢先生、消化試合なこの先の人生をどうすれば楽しく生きられますか?

エッセイ

カレー沢薫のワクワクお悩み相談室

カレー沢薫(かれーざわ・かおる)

26歳女性です。まだ若いと言える年齢ですが、この先の人生が完全に「余生」だと悟ってしまいました。まず、この年代の女性に以後期待されること(恋愛、セックス、結婚、妊娠、出産、子育て、親の介護……etc)に魅力を感じません。 […]

魔女たちは眠りを守る 表紙

2019年05月17日

第二話 天使の微笑み

小説

魔女たちは眠りを守る

村山早紀(むらやま・さき)

 古い港町の、寂れた裏通りに、いまの世界から忘れ去られたような一角がある。もっというと、時の流れからも忘れ去られたような、そんな街角だ。  ひとが住んでいるのかどうか、それすら定かではないような、日中でもしんとしている、 […]

悪夢か現か幻か 表紙

2019年05月16日

第15回 交差点

小説

悪夢か現か幻か

堀真潮(ほりましお)

 その日はひどく暑い日だった。  私はすっかり肉付きのよくなった首に溜まる汗を拭きながら、道案内をしてくれる男の後ろを歩いていた。  真夏の午後の熱気の中、歩いている人はいない。家々は窓を閉め切って冷房を効かせているのか […]

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