キノノキ - kinonoki

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2019年 04月

新・世にも小さな ものがたり工場 表紙

2019年04月26日

「男と鯉」(長野良映)

新・世にも小さな ものがたり工場

ショートショート大賞優秀賞受賞者

 ある池のほとりに男が立っていた。  それだけなら何てことはない風景だが、時間は真夜中で、その男以外には誰もいない。草むらに潜む虫たちの鳴き声が響いてくる。  山の中にぽつんとある池だから、明かりもない。男はあてもなくさ […]

新・世にも小さな ものがたり工場 表紙

2019年04月26日

「連休のひと仕事」(the world is wide)

新・世にも小さな ものがたり工場

ショートショート大賞優秀賞受賞者

 カットしたレモンと氷を浮かべて、よく冷えたソーダ水をグラスに注ぐと、昼前の太陽は立ち上る小さな気泡の一つ一つまできらきら輝かせて見せてくれた。こういうのをゴキゲンって言わずしてなにをそう呼べばいいんだろう。連休のはじめ […]

新・世にも小さな ものがたり工場 表紙

2019年04月26日

「図競想」(梨子田歩未)

新・世にも小さな ものがたり工場

ショートショート大賞優秀賞受賞者

 古びた図書館の入口で、前へ前へと人が折り重なるようにして足踏みをしている。 「スタートラインから、出ないでください」  館長の声は運動会の定番曲、天国と地獄にほとんどかき消されている。続いて、館長の放った空砲とともに、 […]

新・世にも小さな ものがたり工場 表紙

2019年04月26日

「ドクターイエローの黄色いリュック」(滝沢朱音)

新・世にも小さな ものがたり工場

ショートショート大賞優秀賞受賞者

 朝、ドアを開けたら、黄色いリュックが脇に置かれていた。  おそらく子ども用だろう。新幹線のイラストが大きくプリントされている。  誰かが置き忘れたのか。この社宅は独身寮だから、子どもはいないはずだが……といぶかしみつつ […]

新・世にも小さな ものがたり工場 表紙

2019年04月26日

「芳魂」(霜月透子)

新・世にも小さな ものがたり工場

ショートショート大賞優秀賞受賞者

 あの日、目の前で世界が裂けた。  その瞬間、英二は「裂けた」という言葉で目の前の現象を受け止めたが、いま思い返してみると、それは分離というより複製に近いかもしれない。ページがめくられるように。薄紙が剥がされるように。め […]

新・世にも小さな ものがたり工場 表紙

2019年04月26日

「ハハハの日」(山岐信)

新・世にも小さな ものがたり工場

ショートショート大賞優秀賞受賞者

 玄関から転がり出て、わき目も振らず隣家に走り、引き戸をバシバシ叩く。 「助けてください、助けてください」  戸がガラガラと音をたててひらき、田中のおばちゃんが顔を出した。 「ああ、マサル君じゃない。どうかした? 母の日 […]

今日、終わりの部屋から 表紙

2019年04月26日

「今日、終わりの部屋から」最終回

小説

今日、終わりの部屋から

王谷 晶(おうたに あきら)

ゆーじんチャンネルをご覧の皆様どうもこんにちは、心霊YouTuberのゆーじんでーす! はいっ! というわけで今日はとうとうカウントダウン最終日! えー、数々の心霊現象でリスナーのみなさんを、そして俺ゆーじんをビビらせて […]

縁もゆかりもあったのだ 表紙

2019年04月26日

ただ穏やかなホノルルの夜

エッセイ

縁もゆかりもあったのだ

こだま

 最後に家族全員で出かけた地はハワイだ。  こんなことを言うと海外に行き慣れた一家みたいだけれど、いまの所この一回きり。  もう十年以上も前の話になる。  三姉妹の真ん中、長妹に「ハワイで身内だけの式を挙げようと思う」と […]

アネモネの姉妹 リコリスの兄弟 表紙

2019年04月26日

カリフォルニアポピーの義妹(後編)

小説

アネモネの姉妹 リコリスの兄弟

古内一絵(ふるうち かずえ)

 深夜のオフィスで、雪美はパソコンの画面を見つめていた。  明かりがついているのは、間仕切りの奥の社長室だけだ。社員は誰も残っていない。  孤軍奮闘という言葉が脳裏をよぎり、雪美は微かに苦笑する。  チェアの上で伸びをし […]

緑 表紙

2019年04月26日

第11回

小説

東 直子(ひがし・なおこ)

「女」という文字を示す水口の指先に、青と薫と須藤の視線が集中した。しばらくの沈黙の後、薫が顔を上げて言った。 「会いに行ったんだ、ポートー、お母さんに」 「私たち、それ、知らなかったよ。そんなの、聞いたこと、なかった」 […]

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