キノノキ - kinonoki

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2019年 03月

新・世にも小さな ものがたり工場 表紙

2019年03月29日

「鱗片」(霜月透子)

新・世にも小さな ものがたり工場

ショートショート大賞優秀賞受賞者

 いつしか狭く薄暗い廊下を歩いていた。水族館のようだが、館内に入った記憶がない。気づけば人の流れに乗っていた。  足を止めずに素早く辺りを見渡す。人の流れは緩慢でありながら誰ひとり足を止める者はいない。追い越すことも追い […]

新・世にも小さな ものがたり工場 表紙

2019年03月29日

「ポトフ元年」(山岐信)

新・世にも小さな ものがたり工場

ショートショート大賞優秀賞受賞者

 百から一を引くと、九十九になるはずだ。なのになぜ、百のままなんだろうか。 「――と、そういうわけでして、つまり、病院から学生課に電話があったらしいんですが、はて、おかしいな」  入学式の司会進行を任された、銀縁メガネに […]

新・世にも小さな ものがたり工場 表紙

2019年03月29日

「空気を読む」(恵誕)

新・世にも小さな ものがたり工場

ショートショート大賞優秀賞受賞者

 食後のコーヒーが待たされることなく出てくる、本を読みはじめるとさりげなくライトが灯る、誰かと話したい時と一人になりたい時を察してくれる……。  僕のお気に入りのカフェは、まるで僕の心が読めるように、何もかもちょうどいい […]

今日、終わりの部屋から 表紙

2019年03月29日

「今日、終わりの部屋から」第十回

小説

今日、終わりの部屋から

王谷 晶(おうたに あきら)

久恵ほら、動いて動いて。写真じゃないから。8ミリだから。そうそう、えー、今日は19☓☓年、五月の十日です。春樹ー、顔こっち見せて、そうそう。えー、今日は長男春樹の誕生を祝って、家族みんなで植樹をしています。場所はこの、お […]

縁もゆかりもあったのだ 表紙

2019年03月22日

ブルーシートの息吹

エッセイ

縁もゆかりもあったのだ

こだま

 春は荷造り。こんな書き出しに趣きも何もないけれど、我が家は数年おきに転勤があり、主に四月は山積みの段ボール箱とともに訪れる。  記憶に残っているのは十数年前の引っ越しだ。約六十キロ先にある海沿いの街へ移ることになったの […]

アネモネの姉妹 リコリスの兄弟 表紙

2019年03月22日

カリフォルニアポピーの義妹(前篇)

小説

アネモネの姉妹 リコリスの兄弟

古内一絵(ふるうち かずえ)

 セキュリティーを解除して扉をあけると、サッシから漏れる早朝の日差しが、誰もいないオフィスに白々と差し込んでいた。 「寒っ……」  寺内雪美(てらうちゆきみ)は身震いしてエアコンのスイッチを入れる。三月に入り、日差しは随 […]

悪夢か現か幻か 表紙

2019年03月16日

第12回 ハンカチーフ

小説

悪夢か現か幻か

堀真潮(ほりましお)

 頼子がベランダで洗濯物を干していたときだ。上からひらひらと何かが落ちてきた。  その日はよく晴れていたが、風が強かった。  見上げた青空が四角く切りぬかれたかと思うと、それはすぐ手の届くところへとやってきた。  強風に […]

カレー沢薫のワクワクお悩み相談室 表紙

2019年03月15日

カレー沢先生、子供を産まなくて本当に良いのか不安です。

エッセイ

カレー沢薫のワクワクお悩み相談室

カレー沢薫(かれーざわ・かおる)

「子供は産まなくてはいけない」という暗示から逃れられずにいます。 婚約している彼は「子供は絶対ではない、いなくても二人で幸せに暮らせるだろう」と言ってくれます。私も子供が絶対欲しいというわけではありません。私自身、子供が […]

悪夢か現か幻か 表紙

2019年03月03日

第11回 公園の少女

小説

悪夢か現か幻か

堀真潮(ほりましお)

 昼間、お墓参りに行ったときはさすがに暑かったが、夜になると熱気は鳴りを潜め、風にも涼しさが感じられるようになっていた。 「今日はお疲れ様でした」  縁側でうちわを使いながらくつろいでいると、妻がビールと漬物を持ってきて […]

カレー沢薫のワクワクお悩み相談室 表紙

2019年03月01日

カレー沢先生、「友達の友達は友達」が正直しんどくて、どうしたらいいのでしょう?

エッセイ

カレー沢薫のワクワクお悩み相談室

カレー沢薫(かれーざわ・かおる)

住み心地の良い沼を見つけかれこれ5年程住んでいるのですが、沼で出会った友人関係で悩んでいます。それは「友達の友達は友達」制度です。 当方コミュニケーションに支障をきたしている為、友達の連れてきた友達とはうまく仲良 くでき […]

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